ワタシノタイヨウ

「鈴原、用事あるんだろ。ちょっとだけ待ってろ。」


彼は私の方を向き微笑んだ。


(うぅっ、あの笑顔には弱い…)


『はい…』


私は小さく返事を返すと、ドアの前で立ち止まる。


私は二人が気になって、待ってる間もちらちらと視線を彼に向けていた。


「じゃあ青山先生お願いします」


「わかりました。」


彼に向かってニッコリ微笑むと、中西先生はこちらに向かって歩き出した。


その様子を見ていた私と目が合い


「ふふっ、青山先生モテますね」


少し小馬鹿にした笑みを私に残し部屋から出て行く。


(もう、なんなの~!)


私は少しむくれたまま、彼の近くへ歩み寄った。


「ん?どうしたんだカスミ。むくれた顔して。」


彼はしれっとした表情で私の顔を覗き込む。


『別に~』


(ヤキモチ妬いてるなんて言わないもんね。)


私は頬を膨らましたまま視線を逸らした。


「ああ、さっきの気にしてるのか?」


『えっ!ち、ちがうもん!』


(やっぱ、バレた… そりゃあ、顔におもいっきり出てれば気づくよね。)


彼は私の頭を優しく撫でる。


「さっきのは、中西先生来年結婚するから、式の時に若い先生達で歌をお願いしたいって言ってきたんだ。だから、カスミがやきもち妬くような事はないよ。」


彼は私の頬を両手で包むとニヤリと笑った。


『や、ヤキモチなんか妬いてないもんっ。』


私は顔が赤くなってるのも気にせず、慌てて否定する。


「そうか。それは残念。」


彼はわざと大袈裟に、残念そうな顔を見せた。



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