【完結】キミと運命と裏切りと涙。







だけどいまの俺になにがしてやれるのだろうか。


普段使わない頭をフルに活用して考えてみても、答えなんて全然わからない。




「……あの人と、もう一度あの頃みたいに戻りたいな」


ふとそう呟いた笹川の瞳(め)には、切なさが滲み出ていた。




「大丈夫。……きっと戻れるさ」


いまの俺には、"大丈夫"ってことくらいしか言えない。




もっと他に言えることはあるけど、なにも言葉が浮かんでこなかった。


笹川はいまどんな気持ちで居るんだろう。




どんな想いで、母親のことを考えてるんだろう。


……大丈夫って言葉は、ほんとに正しいのかな。
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