【完結】キミと運命と裏切りと涙。







「……人はなにかを失った分だけ温もりを求めようとするってこと、知ってますか?」


少し沈黙が続いたあと、笹川が口を開いた。




「……え?」


「人間は簡単に翻弄されやすい生き物です。……なにかを失った分だけ、その分の温もりを求めようとするんです」


「…………」


「……大切なものを失った悲しみは、簡単には消えないんです」




ほんとに一瞬だけど、いまの笹川から目を背けたいと思った。


隣りに居るのはたしかにいつもの笹川。




だけどその表情はまるで別人のようだった。


なんか俺の知ってる笹川ではないみたいだ。
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