【完結】キミと運命と裏切りと涙。
「……先輩は、"運命"って信じますか?」
笹川が俺をジーッと見つめる。
「……運命か」
もし笹川が運命の相手だったらいいんだけどな。
「あたしは運命なんてこの世に存在しないと思ってました」
「……え?」
「人間は運命に翻弄されやすい残酷な人間なんだと。……ずっとそう思ってました」
「……残酷」
「はい。運命なんて言葉はこの世に存在しないと思ってたんです、あたし」
「……どうして?」
「人間がかわいそうだと思ったから」
「……かわいそう?」
「はい。……人間は小さなことに翻弄されやすい生き物だから」