【完結】キミと運命と裏切りと涙。







俺は一か八かに賭け、笹川をギュッときつく抱き寄せた。


笹川の感情がこれで治まるならまたカッターで切られてもいい。




「放してよ!!」


抱き寄せた時笹川は、びっくりしてカッターを床に落とした。




「もうやめろ笹川」


「……放してよ」


「こんなことしてなにになるんだよ。そんなことしたってただ自分を傷つけるだけだぞ」


「……っ」


「もうこんなことやめろ。自分を傷つけるだけだ」




案の定笹川を抱き締めたら、笹川は少しだけおとなしくなった。


そして笹川に切られた傷も、この時だけは全然痛みを感じなかった。
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