狙われし王女と秘密の騎士


ーー…………

「ごちそうさまでした」
「おう」


食べ終えて、手を合わせて頭を下げる。
すでに食べ終わっていたカイルは微笑み頷くと、フッと目線だけ店の入口に向けた。


「?」


その目が一瞬険しくなったような気がして、私はつられて目線の方を振り返った。
そこには……。


「サルドア兵士……」


どこから来たのか。
サルドア国兵の制服に身を包んだ厳つい三人の男達が店に入って来たのだ。
しかもドカッと席に我が物顔で座り、ニタニタと笑っている。


「おばちゃん、酒だして!酒!」


ひとりが大声で注文をする。店のおばちゃんは驚いたように店の奥へ酒を取りに行った。
周囲の人も不愉快そうな顔で兵士を見ているが、だからと言って何も出来ず席を立つか黙るかだった。
そんな周りの様子を面白そうに見ている兵士。
反応を楽しんでいるようだった。


「それにしても、あっさりと落城しましたね」


ひとりが酒を手に嬉しそうな声を出す。


「あぁ、陛下の戦略は見事なもんだぜ!」
「しかし呑気な国王を持ったエルシールには同情するよ~」


下卑た笑い声を上げる三人。
どうやらこいつらは昨日の城攻めに参加していたようだった。
そのあともエルシールを馬鹿にする発言を続けている。
でも周りは兵士が怖くて何も言い返せなかった。
始めはグッと我慢して堪えていたが、あまりにも我慢ならなくて、私はガタンと椅子から立ち上がる。


「あっ!こらっ!」


カイルの声を無視して、ツカツカと兵士に近寄った。


「あ?なんだ小僧」


兵士のひとりが私に気がつき、顔を上げた。


「あなた方は昨日の城攻めにいたのか!」
「あぁ~!?生意気そうなガキめ。だったらなんだっつーんだよ。」


怒りに震える私に、相手の兵士もガタンと立ち上がる。兵士は私を見下ろした。
騒然となる周囲。しかし私はお構い無く、彼らを負けじと睨み返した。



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