狙われし王女と秘密の騎士


「ぐぁぁぁっ!はな、放せっ!折れる折れる!」
「悪いけど、俺は平和主義なんだ。喧嘩なんてダッサイことしたくないんでね」


それに、と腕をねじあげられ、机に伏せられた兵士の耳元でカイルは囁いた。


「俺の顔を、あんたらの様にはしたくない」


瞬間、捻りあげた腕にグッと力を入れると兵士は声もなく、悶絶の表情で床に蹲る。


「貴様っ!」


それを見て飛び掛かろうとしたもう一人の兵士にはミゾオチ部分を足で思いっきり蹴りあげて飛ばした。その弾みで、側にいたもう一人の兵士も巻き込まれて後ろへと吹っ飛んだ。
派手な音を上げて床に転がる。


「あ、悪いね。足が長いもんで」


床には兵士が二人、机の下には腕を押さえて蹲る兵士がひとり。
あっという間に彼らを黙らせちゃったカイルは、怯えている店のおばちゃんに多めに小銭を渡す。
美味しかったよ、と、極上の笑顔を作りながら。


「行くぞ、シュリ」


荷物を持ってさっさと店を出るカイル。
私は慌ててそれを追いかけた。





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