狙われし王女と秘密の騎士

狙われた姫君



ーーー……
「デカイ街だなぁ」


カイルは街の入口で一言そう言った。
小さな村を幾つか越えて、昼頃にやっと着いた隣街。
人が道に溢れて賑やかだ。
この街は城下街とは違って派手な華やかさが特徴だ。
城下町が政や商業なら、ここは言うなれば、遊びの街って感じかな。


「お兄さん、遊んでいかなぁい?」


通りを歩いていると、ある店の前で寛いでいた艶やかな服装の色っぽいお姉さんがカイルに声をかけた。
きっと客を物色していたのだろう。
肩に置かれたお姉さんの手をそっと下ろしてカイルはニッコリ笑う。


「今日は遠慮しとくよ」
「あらぁ、残念。お兄さん、男前だからサービスするのにぃ」


お姉さんは魅惑的な唇を尖らせて、ものすごく残念そうな声を出す。
出で立ちはどうであれ、カイルのルックスを見て、特上の客だと思ったのだろう。
仕方なくカイルから離れる。
そしてチラッと私の方を見てウフッと笑った。


「坊やはもうちょっと大人になったらね」


……なんだろう、若干腹が立つ。
ムッとしたのが顔に出たのだろう。
そんな私を見て、カイルもチラリと笑った。
なんだか、なぜだか悔しい。思わずフンと顔を背けた。



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