ますかれーど

--心side--


光と闇は

対等で対照

だから

交わることなんて

けして けして

ないんだよ?






「心、おはよ」

「おはよっ」

「怪我は?」

「ん。一晩寝たら、だいぶ良い」

「そか♪」



綺麗な微笑みを私に向けた麗花。

登校中を心配してくれたのかな?わざわざ迎えに来てくれたんだ。


そうだね。
来てくれて、良かった。


私に向けられる、たくさんの好奇の目。

麗花がいなかったら、潰れてたかもね。



「ありがと。麗花」

「ん?んっ♪」



私が何のお礼をしたのか、麗花は分かったみたい。

重苦しい、低い空。
湿気を帯びた風。

もうすぐ雨が降るかな‥


キーンコーンカーンコーン‥


授業なんて全然耳に入ってこない。

私、ここに居る意味‥ある?



「銀崎ー!紅澤ー!ついてこーい」



おやじが呼んでる。

私と麗花は、瞳を合わせるなり「はぁ‥」と息を吐いておやじの後に続く。


私が一歩 動くだけで、周りのザワザワはヒソヒソになる。

そして、私が動く先へと必ず付いてくる、嫌ぁーな視線。

昨日の流血事件のせいか、紫藤のおやじの一言のせいか。

話かけてくるやつはいない。


平和だね。うん。
限りなく平和だよ。



「おやじっ!歩くの早い」

「おやじって呼ぶなっ!素敵なオジサマと呼べ」

「どこが?ねぇ心」



くすくすと笑う私たちは、ひとつ上の階の音楽準備室へと向かう。

なんで?

だって、紫藤のおやじは音楽の教師だし。似合わないけど。

階段を24段あがって、ギャーギャー騒ぎながら歩く私たちに向けられる視線。

それは、この階の方が鋭く、強く、そして、好奇ではなく悪意を持ってる。

完全にアウェイだね。



「銀崎よぅ。お前完全にヒールだな」



なんか楽しそうに話すこの素敵なオジサマ。



「悪役ねぇ‥楽しいよね」



私は、ははっと笑ってみせた。

仮面が砕かれた今の私。クールというかなんというかーー‥何にも感じない感じ?



「心が悪役かぁ♪じゃ、私は捕らわれの姫をやろっかな」

「えー?腹黒お姫様ぁー?」

「銀崎ぃ、紅澤は腹黒じゃなくて、オープンブラックなの」

「まぁね♪」

「そこは否定してよ麗花ぁ~」


そんなくだらないじゃれあいをしながら廊下を進む私たち。

するとーー‥


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