「ところで先生、私今手相にハマっていて」

「ふむふむ」


男は話半分に、爪を懸命に走らせる。


「これが肩こりのツボ、目にいいツボ、食欲増進に快楽のツボ…」

「それは全然手相ではないね」

「とにかく!爪にもツボとか無いんですか?」


男は手を休めて考える。そして口元に笑みを浮かべた。


「爪にツボは無いさ。ただ、健康のバロメータと言われているから、見ただけで状態が解るよ」

「へぇ、すごい」

「それとね」


男は立ち上がり、歩き始める。


「爪ではなく指の話だけれでも、私の知る限り女性が一番感じるツボは、足の親指と親指の間だ…」







「あっ…」



女は身をよじらせ、シーツを強く掴んだ。



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