拘束お姫様 *番外編開始


そしてさらに彼女の心を傷つかせる言葉を、メイドは言う。


「その舞踏会が行われている間、お姫様は部屋から出る事を許されません」

「……どう、して……」

「これは王子様からではなく、王からの命令です」


心が痛いと叫び声を上げるのが、涙とならないように、シンデレラは唇を噛み締めて、押さえた。


「わかり、ました……」

やはり奴隷が王子様の婚約相手になるなんて、許されない。


「……部屋に戻りますね」

今にも泣きそうな表情(かお)をメイドに見られないように。
必死に、笑顔を作り、椅子から腰を上げた。


やっぱり、奴隷なんて嫌なの?
ねぇ、クロード様――。


いくら心の中で悲しみを叫ぼうと、彼に届くことはなく、そしてその答えなども分かるはずはなかった。

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