拘束お姫様 *番外編開始




「王子、本当に舞踏会に出られるのですか?」

クロードの使い――ガイルが少し不満そうな顔をしながら彼に言った。


「あぁ、もちろんさ」

そう言って、クロードは舞踏会が行われているホールへと続く長い廊下を歩き続ける。

「シンデレラ様には何も伝えていないのでは?」

あぁ、と彼は言う。
そして足を止めて、振り向いた。

「だから、早く終わらせるのさ」

意味深な微笑みを見せて、クロードは再び歩き出した。

ホールに近付いていくにつれて、僅かに綺麗な音も聴こえてくる。


そしてその扉を開ければ、少し先に一つの豪勢な椅子が目に入った。
ホールにいた誰もが、クロードに目を向ける。
そんな視線など気にもくれず、ただ黙ったまま、彼はその椅子に腰を下ろした。

貴族たちのざわめき声がホールに響く。



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