拘束お姫様 *番外編開始
*
「王子、本当に舞踏会に出られるのですか?」
クロードの使い――ガイルが少し不満そうな顔をしながら彼に言った。
「あぁ、もちろんさ」
そう言って、クロードは舞踏会が行われているホールへと続く長い廊下を歩き続ける。
「シンデレラ様には何も伝えていないのでは?」
あぁ、と彼は言う。
そして足を止めて、振り向いた。
「だから、早く終わらせるのさ」
意味深な微笑みを見せて、クロードは再び歩き出した。
ホールに近付いていくにつれて、僅かに綺麗な音も聴こえてくる。
そしてその扉を開ければ、少し先に一つの豪勢な椅子が目に入った。
ホールにいた誰もが、クロードに目を向ける。
そんな視線など気にもくれず、ただ黙ったまま、彼はその椅子に腰を下ろした。
貴族たちのざわめき声がホールに響く。