拘束お姫様 *番外編開始
「・・・・・・それより、いい加減帰らせてください」
外はもう、陽が昇っていた。
十分 一人で帰れる時間帯だ。
「それは出来ない。 何があっても、絶対にあそこへ帰すつもりはないよ」
“あそこ”という言葉に、彼女は何かに気付いた。
「あたしの身元を、知っているのですか」
「僕は次期王子だよ? あなたの事を調べるくらい、容易いことさ」
その言葉に、彼女の心臓が一気に速くなる。
「あなたには姉が一人。 それと母親、父親。 あぁ、でも姉や母親とは血は繋がっていないみたいだね」
「そんなこと、まで・・・」
「それに 父親は今行方を眩ませている、ということも もちろん知っている」
詳しく調べてあるが故に、あの傷の事を―――あたしの“存在位置”を、知られているのかもしれない。
そう思うだけで、無意識に体は震えていた。