愛恋(アイレン)〜運命の恋〜
にぃは、不安そうだった。




私と母さんの喧嘩は、にぃがよく一番わかっている。なんせ…近くで見ていたから。




「まだ…してない」




俯く私。




「母ちゃんも、お前が心配だから言ってるんだぜ?“何もわかってない!"は…少し言い過ぎじゃないのか??」




わかってる…
わかってるの、にぃ。
だけど、反対されればされるほど…どうしても素直になれないの。




どうしても…ユウスケを諦めきれないの。
ユウスケが好きなの。
この気持ちだけは、絶対に譲れない!




何も言わない私に、にぃはまた声をかけた。




「まぁ…母ちゃんも母ちゃんだけどな。あんなムキにならなくても良かったんだけど」




運転しながらにぃは、苦笑いしていた。




「……」




無言で俯く私。




「だから…さ。もう一回、母ちゃんと話してみれば?今のえりなの気持ちを伝えれば、母ちゃんだってわかってくれるよ」


にぃは、優しい口調で言ってくれた。




「…わかった」




私は俯きつつ、頷いた。




私だって、母さんの言いたいことは理解している。
だけど、否定的な発言をされると、私だって黙っていられない……。
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