夏恋
「お茶!」
「へ…!?」
「お茶!マネージャーなんだからしっかりしろよ、真麻(まあさ)」
コツンと小突かれた頭を擦りながら、水筒を取りにいく。
偉そうなんだから、薫(かおる)のやつ。
ちょっと、ぼんやりしていただけなのに。
ぐるぐる回る悪口を、押し込めて薫にお茶を渡した。
「ほら」
「ほら、じゃねーだろ、バカ」
「バカとは何よバカとは!だいたい練習真面目にしているの!?」
「しているよ、お前と違ってな」
「はー!?あたしはちゃんとしてます!てか、真面目にしているわりには元気そうじゃない。」
休憩が終わる頃には、二人でゼェゼェ言っている。
それを、みんなが笑いながら見ているっていうのが、あたしたち野球部の日常。