夏恋

狼くんと狐さん






…気づくと目が追っている。



…気づくとため息をついている。



…気づくと涙が溢れている。




あれから、薫とは一言も言葉を交わしていない。



…と言うより、話しかけるあたしを薫が無視しているんだ。



「はい、タオル」



「…」



無言で受け取る薫に、顔から笑顔が消える。



こっちすら向いてくれない薫にあたしの胸はズキズキと音をたてていた。





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