夏恋





「薫…お茶は…」



「いらね」



お茶を差し出すあたしに冷たい言葉を投げ掛けてくる。



そのまま、あたしを見ることなくタオルをバンっと椅子に叩きつけて、横を通りすぎる。



その時、肩がぶつかりお茶を溢してしまった。



「…あっ!」



濡れたコンクリート。



声をあげたあたしをも、無視してグラウンドに駆けてく。



小さくなっていく背中を見つめながら、紙コップを拾った。



あたしが飛鳥くんを好きだから…



飛鳥くんと付き合っているから…



薫はあたしを無視するの?






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