恋花~桜~
何日かたったある日の授業中、一枚の紙切れがまわってきた。

その紙を見ると『1年A組の女子NO.1ランキング』と題名があって、クラスの女子の名前が書かれていた。

《へぇ~面白いことするなぁ。誰が始めたたのだろう》

俺には遅めにその紙がまわってきたのがわかった。なぜなら…

『保科咲子  正正正・・・』

と書かれていたからだ。

クラスのほとんどの男子が彼女に票を入れていた。

《やっぱりみんな同じことを思ってるんだな》

保科さんの容姿はずば抜けていた。このクラスだけじゃない。学校見渡したって保科さん以上の女子は見当たらない。だれもが認めるクラスのマドンナだったんだ。

もちろん俺も、保科さんに『一』と入れた。


そんな彼女と話す機会など、俺にはなかった。女の子と話すのが苦手な俺は、どの女子とも普通に会話することなんかなかったし、ましてやマドンナとなんか挨拶すらできなかった。

きっと保科さんは、俺の名前も覚えてないんじゃないかな…そう思うくらい俺と保科さんとの接点はなかった。

…ないと思っていたんだ。

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