空のために
「あ、あの・・・空?」
「なに?」
「手痛いんだけど・・・」
私の手はしらない間にずっと握られていた。
しかもとても強い力で・・・
「嫌、離さない。」
「な、なんで!?」
「・・・・・・・・・」
空はなにも返事をしなかった。
表情もよく読めない。
どこに向かっているのかも分からない。
今の空は怖い。
あんなこと言ってくれたのはとても嬉しかったけど・・・
怖かった。
「怖かったんでしょ?さっきの俺・・・」
「・・・べ、別に怖くなかった・・・よ?」
「嘘つくなよ・・・声震えてるじゃん。」
「別に・・・怖くなかったもん。」
「ごめん・・・俺、愛を守れるかわかんねぇ」
空の言ってることの意味が分からなかった。
守るって・・・
「守るって・・・誰から?」
「・・・・・・・」
空は黙っている。
「空。話してよ・・・誰からうちを守るの?」
「・・・・・・・」
「空!」
「・・・・・俺からだよ。」
少し大きめの声で空が言った。
「・・・・・なんで?」
「俺、なんでも暴力で解決するタイプだから・・・愛になんかあったら、俺愛を苦しめた相手殺しちゃうかもしれないし。」
「殺すって・・・ふふ、そんな冗」
「冗談じゃねぇよ。」
そう言って空は1人で歩き出してしまった。
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