空のために
そう言って1階に下りてすごい人だかりを見つけた。
「あれなに?」
萌に聞くとニヤニヤしながら…
「あそこにいるんだよ!標的が。」
「えっあの人だかり?」
そう言った私の横を甘い匂いが通った。
「「キャー晃太くぅーん」」
「「こっち向いてーっ」」
黄色い声が廊下に響いた。
その声に先は甘い匂いの男だった。
その男は茶髪にピアス、派手な指輪をしてダルダルな制服を着ている。
正直、超ぞっこん!
すごいかっこいいし、不良って言うのが良い。
あれは100点だね。
「愛?…あーい」
「ん?あっごめん。どうした萌?」
「あれれ?もしかしてぞっこんですか?」
「いや、ないない!」
素直になれない…かなわない恋で友達を振り回すのは恥ずかしい。
「なーんだ。もう空峰君に惚れたんかと思ったー」
「え?あれが空峰君ー!!?」
しーん。
私の声があまりにも大きすぎて、周りがとても静かになった…
「あ、えっと…なんでもないです!」
「そうだよ、俺が空峰君だよ?よろしくね?愛先輩。」
チュッ。
甘い匂いの男にキスされた…
ん?キス?私今キスされてる…
「うわっ。な、な、なんですか?!」
「先輩?敬語じゃなくていいよ。俺、先輩が好きです。だから付き合って?」
は?
なんなのこのくされ後輩。
いきなりキスしてきて…今度は付き合えだぁ?
ふざけんな、なに考えてるのよ。
「先輩?」
でも…私は惚れてしまった。
こんな生意気な後輩に。



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