≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「私たちの事を、今、テレビで観ている人たちは、きっと・・なんて愚かな子供だろうと、思っているかもしれません。

でも、そんな愚かな子供でも・・こうやって・・必死で訴えたい思いがあるっていう事を・・・皆さん・・・解ってください・・・

こんなカタチでしか、訴えられない私たちの思いを・・・無視しないで下さい・・・

・・ヒック・・ヒック・・お・・お願いしますっっ!!」



またもう1人の、オレの知らない少女がスピーカー越しに喋っていた。

その子から絵里香ちゃんが、またスピーカーを受け取り、叫んだ。



「私たちは、空港建設をやめるまで、このビルから出ません!!それまで何も食べません!何も飲みません!あなたたちが、私たちの訴えを聞いてくれないという事は、人を死なせるという事です。つまり、殺人者です。殺人者の作った空港を使う人たちも、皆罪人です!!どうか、よく考えてください!!」


そう言うと女子3人は、お互いの意志を確認し合うように見つめ合った。


ガラス張りの自動ドアのすぐ内側には、恐らく絵里香ちゃんが集めたであろう署名が、バラ撒いてあった。

次に、時間を置いて日村先生がたった1本のペットボトルの水を持って建物の中に入ったという事がリポーターによって伝えられた。絵里香ちゃんたちに水を飲ませようと、説得しているとのことだった。




---- では、彼女たちがどのような経緯で、このビルに立てこもったのか・・・少女のお父様にお話しを伺います。・・・いつ、どのようなカタチで、娘さんが、会社に立てこもったという事が判ったのでしょうか。



「・・・おとといの夜から・・娘が居なくなって・・ずっと・・捜していました・・・。

昨日の夜になって・・・会社でボヤがあったと・・・部下から聞き・・急いで会社へ向かいました・・・」


テレビの画面には、首から下しか映していなかったが、あれは、間違いなく山田氏だ・・。


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