狂愛ゴング

なに? なんで? なんでそうなる。
新庄はなに一つ変わらない顔で私を見ている。なにを…考えているのか本当にわからない。


「な、んで……そうなるの……?」

「めんどくさいから」


めんどくさいからってセックスする意味を詳しく教えろ馬鹿。そもそもなにが面倒なの。


「それとも初めて?」


初めてですけど?
少しにやりとして私を見る新庄に、むっとして睨み付ける。

否定はしなかった、いや出来なかった。だって真実だし。


「怖いの? 初めては怖いよねーやめとく? できないよなーお前には」


……馬鹿にしてるの? してるよね? どう考えても馬鹿にしてるよね。


「ガキだからなー」


……な!?


「——じょうっだんじゃない! やってやろうじゃない!! そんな膜の1枚や2枚惜しくなんてなんともないわよ!」

「色気ねえなあ」


うっせえ! そんなものもともと持ち合わせてないわよ!

っていうかしたくねえよ馬鹿! 止まれ自分の口!


「ほんとに?」


真面目な顔で、私を見る。
その顔に、ぐっと言葉を詰まらせるけれど、目だけは睨み付けるように新庄を見続けた。

いいよ、とも、嘘です、とも言えない。
どっちの気持ちだって……。

そう頭に浮かんでぶんぶんと頭を振った。考えちゃダメ。知りたくないから。なにも知らないままこのまま終わればいい。

私たちのくだらない戦いなんか。


したい? したくない?
したい。したくない。


「ん」


新庄が、そう言って右手を私の方に差し出した。
それが、なにを意味しているかなんて、すぐに、わかる。
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