あたしの仮旦那は兄貴の親友
未来の仮旦那は私の担任
「これでよしっと!」

あたしは鞄のチャックをしめると
立ち上がってワンピースの裾を叩いた

「本当に行くのか?」

誠也が寂しそうな顔をして
寝室のドアに寄りかかっている

「ああ、行く
ちゃんと話しあっただろ?」

「そうだけど…」

「高校卒業したら入籍を入れる
それまでは普通の教師と生徒でいようって」

「だけど…寂しい」

「そりゃ、あたしだって同じだ
でもきちんと話をして二人で決めたんだ」

「そう、だな」

喉を鳴らした誠也が
腕を組んで仁王立ちした

「寂しくなったらいつでも帰ってこい」

「帰らない!」

「そう言わずに…ね?」

「甘える場所があったら
甘えちゃうだろ?」

「果恋は甘え下手なくせに」

誠也があたしのおでこをツンと突いた

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