あたしの仮旦那は兄貴の親友
思わずぎゅってしたくなる

「格好良くて、お金持ちの家の次男ってなると競争率が高くなるらしいよ」

「いやあ…花音が汚染されるぅ」

あたしは頭を抱えると左右にふった

「そんな情報をどこから貰ってくるのよ、花音は!」

「麗華さんが教室で話してた」

「ああ…あの子ね
あの子は自分も金持ってるくせに
欲求が高すぎるのよ
世の中は金じゃないのよ
まあ金も必要だけど
『アイ』よ
人間には愛情が必要なのよ」

「そうだねえ、確かに愛が必要だよね」

突然、会話に割り込んできてた男の声に
あたしがばっと振り返る

ああ…やっぱし

スーツ姿のあいつが日誌を持って立っている

「久我先生?」

花音が首を傾げた

「木下さん、海堂さんとクラスが違うのに仲が良いんだね」

「いいでしょ! 
あたしが誰と仲良くしてようがっ
で、久我先生は何の用ですか?」

「日誌、まだ空欄部分があったから」

「ええ? ちゃんと書いたよ」

「書いてないから、こうして来たんだよ
ほら付き合うから、こっちで書いて」

ぐいっとあいつに腕を掴まれると
あたしはズルズルと引き摺られた

ちょ…ちょっと
日誌はちゃんを書いたよ

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