あたしの仮旦那は兄貴の親友
ちゅ、ちゅっと肌に吸いつく音が
生徒指導室に響く

ちょ…ちょっと!

「何してんだよっ」

あたしはあいつの額をぐっと押すと
次のキスを阻止しようと
身体を逸らせた

「何をやってんだって聞いてんの!」

「果恋ちゃんって可愛いから
ムラムラしちゃったっていうか…ねっ」

「なにが『ねっ』だ
爽やかに言ったところで
エロい言葉が爽やかになるわけじゃねえんだよ」

「じゃ、一回だけ唇にキスさせて」

「はああ?」

「それで許す」

「何を許すんだよ!」

「じゃあ、言い換えるよ
我慢する」

「だから何をどう我慢するんだよ」

「詳しく言っていいの?」

「言うな」

「じゃあ、言わないから
キスさせて」

なんでそうなるんだ!

あいつはあたしの腰に手を回すと
唇にキスを落とした

甘いお菓子を勿体なく食べるみたいに
あいつは丁寧にあたしにキスをした



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