あたしの仮旦那は兄貴の親友
「男は馬鹿な生き物だからさ
拒まれると、欲求不満でどうにかなりそうになる
果恋ちゃんに拒否されたら
僕は気が狂いそうだよ」

「…わ、わかったよ」

「良かった」

あいつは嬉しそうに笑った

「よしっ、もうひと頑張りだ」

背伸びをしたあいつは
また大学ノートに目を落とした

教師がこんな遅くまで
授業の準備をしているなって知らなかった

寝不足な表情なんて
学校で一度も見せなかったから

きっと手際よくささっと準備をして
年上のお姉さんたちと遊びまくってたんだと思ってた

それは勘違いだったのかもしれない

「こ…コーヒーでも淹れてやろうか?」

「本当に? うわあ、嬉しいなあ」

ぱあっと明るい表情になったあいつが
にこにこと微笑んで
あたしを見てきた

「ただのインスタントだぞ」

「うん。果恋ちゃんが淹れてくれたコーヒーは世界一だよ」

嬉しそうに言うあいつが
可愛いなんて思ったのは…内緒だぞ

誰にも言わない秘密だ

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