パステルクレヨン
「ねぇ玉置」
「ん?」
玉置が草をいじりながら、眩しそうにあたしを見上げる。
「あたしね、今まで好きになった人、ずーっと好きだよ」
「は?なにそれ」
「幼稚園の時に好きだったハヤテくんも、小学校の時に好きだったワタルくんも、前付き合った藤沢先輩も、みんな今でも好きなの」
あたしは指折り思い出していく。
「本当に心から好きって思った人は、一生涯、どんなことがあっても、どんな嫌なことされても、好きなまま。
何かギクシャクしちゃって、友達にも戻れなかったとしても、何か、別の感情があるの」
「へー…」
玉置は興味なさげに草をブチブチ抜いている。
「だから…いいんじゃない?忘れなくて」
玉置の手が止まる。
「鳴海さんのことっ。…好きなら好きを通せばいいじゃない」