パステルクレヨン
「いつか、時間が経てば忘れられるモンだと思うんだよ、恋愛の1つや2つ」
ふぅ、と玉置が息をつく。
「でも、思ってたより簡単じゃないな。時間がかかるし、何よりキツい」
フェンスが離れた玉置は、ゆっくりとあたしの隣に歩いてきて、座った。
…なんだコイツ
結局まだ、鳴海さんのこと、好きなんじゃん。
そういうことでしょ?
バカみたい。
玉置がもうちょっと顔がカッコよくなかったり
もうちょっと頭悪かったら
鳴海さんは玉置を捨てるよ。
外見と肩書きだけなのに。
鳴海さんが欲しいのは、『玉置』じゃなくて、『彼氏』なのに。
誰だっていいのに。
でも……
こんなの聞いても玉置を嫌いになれないあたしは
もっとバカだ。