パステルクレヨン


「早瀬、家まで送っていこうか?」


「え…?」


帰り。


図書館から近いあたしの家は、玉置やヒカルくんの帰り道の途中。


いつも、ついでみたいに玉置が送ってくれるけど、ヒカルくんが送っていこうかと言った。


「あ、大丈夫だよ。近いし」


「あーでも俺もさ、どっちにしろ通っちゃうから。送るってことに、しといてよ」


「あ、そうだよね。じゃあ…アリガト」



チャリを押すヒカルくんの横を歩きながら思う。



ヒカルくんは、確かに女の子にモテる。


それは、分かる気がする。


だって、ヒカルくんは、女の子の気にする小さなことにも気が回るし、喜ぶ言葉も知ってる。



だけど、それはあたしが思う『人間の魅力』じゃない気がして。


…難しいな。


あたしは隣を歩くヒカルくんにバレないように、小さなため息を1つついた。





< 42 / 68 >

この作品をシェア

pagetop