パステルクレヨン
「まぁ杏樹の言い分も分からなくもないけどさ。結局、あんなラブラブでそのまま結婚すんじゃないかとまで言われてた玉置と鳴海さんも、別れたらなーんにもないもんね。話してるのすら、見たことないし」
悲しい現実だよね、これこそ。
みんなの注目の的だった玉置と鳴海さんについては、付き合っていた当時、すごい情報がだだ漏れだった。
非常階段でキスしてたぞ、とか
鳴海さんが玉置の家に遊びに行ってDVD鑑賞してた、とか。
今おもえば、誰が情報源なのかも分からないし、本当かも分からない。
それでもあたしたちは、みんなしてそれに踊らされていた。
「でもさ、絶好の機会だったんじゃないの?もうこれを逃したら、玉置から告白されることなんてないかもよ?」