銭コ乗せ
俺はキツネ眼に従った。

門は目と鼻の先だ。

袋を抱えて逃げ出す自信はあった。

門さえ出れば、試験が開始される。試験が開始されれば、やりとりはもう出来なくなる。なんのメリットも無くなれば、ヤツが撃ってくることもないだろう。

逃げ出すことは出来た。

でも、俺はヤツに従った。

怯えたわけではない。

自分の愚かさに腹が立ったからだ。


俺は、とことん甘かった。


「それじゃあお互い頑張りましょう、ククッ。」

たっぷり膨れた袋を回収すると、代わりに自分のスッカスカの袋を投げ捨て、キツネ眼は門を出ていった。

遅れること数分。

俺は拳を作って強く床に打ち付けると、落ちてる袋をクッシャクシャに握り締め、ヤツと同じく門を出た。
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