銭コ乗せ
「本当に…本当にこれで上手くいくのか?」

今やすっかり口癖になったその言葉を、俺はまた、何度も言わずにはいれなかった。

やべぇ。


マジでこえぇ。


ビビりにビビって、体中がブルつく。でも、

俺にはこれしかねぇ。
あとは段取り通りやることに集中しろ!

集中しろ!

集中しろ!


む…


む…む…



む、ムリぃー!


いても立ってもいられず、俺は友人に電話をかけた。

プルルル…


プルルル…



―プツッ―


「はい、もしもし。」

「元気か?死んだら電話出来ないからよ…死ぬ前に、こうして電話してやったぜ。」

「おいおいおい!マジかよ……香典って、どれくらい払えば」


―ピッ―


準備は整った。

身仕度も終えた。

友人はどうでもいい。


あとは根性だけなんだ。
頼むぜ神様!!

俺はブツが布袋の中にあることを確認すると、スーツの襟を正し、

ビジネスホテルを出ていった。
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