銭コ乗せ
―ゴクッ―


生唾を飲んだ俺の数歩先には、


重厚な門がどっしり構えていた。

あの大豪邸とは、まったく正反対の威圧感を感じる。

一歩間違えたら死、一歩間違えたら死、下手したら間違えなくても死。

一歩ずつ歩み寄る度に、不吉な言葉が呪文のように俺の頭を駆け巡った。


―ウィーン―

―ゴゴゴ…―


門の前にまで来ると、俺が何を言わずとも重厚な門が自動で開いた。

「カメラか…」

俺はそう呟くと、無理矢理に笑顔をつくり、背筋を伸しながらも、どうにか自然な歩き方に見えるよう奮闘した。

クソッ、震えるな、ヒザ…!

見覚えのある玄関が近付くと、自然と口から皮肉がこぼれた。

「まさか…ゴールがふりだしになるとはな。」
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