雨粒ドロップ



 ―… 一方、珱魅達は。


「あ、あった。銀城くん、ここ。この下」

珱魅と銀城は、愛璃達の通う高校の校庭の木の下で、何かを探しているようだ。

珱魅の指さす先には狭く深めの溝があり、その下で何かが光っている。


「…何でこんなところに―…」

よいしょ、と腕を伸ばして銀城の手が掴んだものは、可愛らしいアンクレットだった。

「…これ、ですかね?」


「…間違いないね」

珱魅は銀城の手からそれを受け取ると、ぱたぱたと土を払った。

アンクレットには、ゴシック調の小さな天使の羽ようなものがあり、それはアメジストを抱えるようにしてついている。

珱魅が暫くそれを眺めていると、突然木の上からクスクスと笑い声が漏れてきた。



「―…久しぶりだな、珱魅」


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