舞蝶.・。*

犯人の正体.・。*



――夜


みんなは莢の傍で眠りについてる。

俺は病室を抜け出して、売店に向かった。


コーヒーと莢の好きなオレンジジュースを買った。

冷蔵庫に入れとけば、目が覚めた時飲むだろう。

そして、病室に戻った。

――莢が…いない。


みんなは寝てる。

起こしちゃ悪いだろうと思い、俺だけで探すことにした。


俺は屋上に向かった。

すると女の綺麗な歌声が聞こえた。
透き通るような声。


俺は吸い込まれるように、その声の元へ向かった。

綺麗な長い藍色の髪が舞う。
その横顔には涙。


―――あなたへ

 ねぇ、どうしてあたしを嫌ったの?

あなたの事嫌いじゃないのに。


  あたしを生んでくれてありがとう。

心いっぱいの感謝をしてます。


  だから、幸せに暮らしてください。

そして安らかにお眠りください―――


英語で歌ってたけど、意味は分かった。


俺は後ろから抱きしめた。

女は吃驚してたけど、分かったみたい。


「・・・日向」

「なんで、病室から抜け出した?」

「みんなに見られたくなかったから…」

「もう1人じゃないっていったろ?
悲しい事も嬉しい事も。

全部俺に話せって言ったろ?」



< 182 / 229 >

この作品をシェア

pagetop