舞蝶.・。*




小さな背中から伝わって来る、体温。

莢は、泣き崩れた。


「あの…人が……あの人がっ…。
刑務…所でっ……自殺っ…したって……」

自殺……。

だから和樹さん、来れなかったんだ。


「…誰から聞いた?」

「看護師さん…から……電話が来てたって…ついさっき…」

「そうか」

俺は莢を強く抱きしめた。
莢は落ち着いてから、話をし始めた。

「あの人、族と関わってたんだ。

その族は…薬もやってて、とにかく下っ端の数が多くて。
たぶんその中にあたしを突き飛ばした男がいると思う。

命令したのはあの人」

命令したのがあの人って…。
娘を殺すぐらいの親だったのかよ!!

「日向。パソコン持ってる?」

「病室に奏のがあると思うけど」


莢は真面目な顔になって「行こう」と言った。

俺は和樹さんに連絡した。


「莢っ!!!」

「お父さんっ!!!」

和樹さん…来るの早!!!
莢と和樹さんは抱き合った。

「お父さん」

「ああ」

お父さんも一緒に病室に向かった。



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