胡蝶蘭
あたしってそんな邪魔かな。



キィキィとブランコが揺れる。



誓耶は後ろに身体を倒した。



星が見えた。



あまり綺麗ではないけど、小さく光っている星が元気付けてくれている気がした。



「…帰ろ。」



一言、自分を励ますように声をかけ、誓耶は立ち上がった。



立ち上がりはしたものの、足が重い。



誓耶は唸りながら自分を励ました。



歩いていると、空が明るくなってきた。



もうそんな時間か、と驚く。



今日、学校大丈夫かな。



足元でカンという音がした。



同時に硬い感触が足に。



視線を下げると、携帯が転がっていた。



……落とし物? 



どうしようかと迷ったが、誓耶は屈んで取り上げた。



「綺麗な携帯だな。」



傷がほとんどない。



色は黒で、ピカピカだ。



女子がよく張るプリクラやストーンもないし、スラップもシンプルな革製のものなことから男と推測する。



誓耶も携帯は白だがプリクラ等は張っておらず、スラップも一つ(しかも交通安全の御守り)だけなので男と断定は出来ないが。



「こういう場合は交番か?」



一人でぶつぶつ呟く。



交番、と当ててみたものの、行きたくはない。



……慎吾と一緒にいて、しょっぴかれたことが何度かあったのだ。 




一応ここに落としておくよりは預かっておく方がいいというのはわかりきっていたので、誓耶は携帯をポケットに滑り込ませた。


















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