胡蝶蘭
不審に思う気持ちもあるが、何故か嬉しい。



…なんでそう思う?



「偉槻ならいいよ。」



そう言った気持ちは本当だ。



でも、いつも大人な態度。



実は、本当は最後には手を出してくるんじゃないかと思ってた。



出してこなかったところが偉槻の偉い所だろうか。



気を使ってくれているということはもう十分にわかっている。



でも、ときどき相手にされないと悲しくなる。



身勝手な話だ。



わかってる。



でも、この燻る気持ちはなんだろう。



あたし、なんなの。



女なんて、望んで生まれたんじゃない。



男だったらよかった。



そう思ってきた。



女として見られるのがこの上なく嫌だった。



なのに、偉槻には女として見てほしい。



大きな矛盾。



どうして?



どうして今更、女らしくなりたい思ってしまうんだろう。
















< 158 / 366 >

この作品をシェア

pagetop