胡蝶蘭
一気にゾゾッと鳥肌が立った。



ギ、ギ、ギ、と健を振り返る。



健はにっこりと爽やかな笑みを浮かべて、「気を付けて。」と笑った。



何をどう気をつけろと?



誓耶は恐る恐る、偉槻を窺った。



いつもと変わらない無表情。



さっきの表情が信じられないくらい、クールな表情。



「ね、なんか偉槻って思ってたよりも怖いかも。」


「やっと気付いた?
奴って案外、クールじゃないんだよね。」


「…今日初めてこんな偉槻見たもん。」


「お気の毒様。」



俺らはもう何度も見てるよ、と健は疲れた顔で言った。



でも…。



「でも、嫌いじゃないんだろ?」



そんなこと言って。



ホントはまったく構わないって、顔に書いてある。



健はニッと笑って、誓耶の頭を小突いた。



「まあな。」


「へへっ。」



いいな。



偉槻、好かれてんじゃん。



…でも、あたしはあんなのもう御免だからな。






















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