胡蝶蘭
「まあ、あたしは殴るから。」



拳を突き出すと、彼女は笑った。



「わかった。
じゃあ、家まで走ってく。」


「送る?」


「いいよ、近いし。
それに誓耶の家、正反対なんでしょ?」



頷くとバイバイと手を振られた。



誓耶も返す。



彼女が歩きだすのを見届けて、誓耶も歩きだした。



あーぁ、家、帰りたくないなぁ。



そう思いながらも、やっぱり帰るところは家しかなかった。










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