胡蝶蘭
「やだよぉ。」


「疲れてるんだろ、休んどけよ。」


「偉槻を見れるときにいっぱい見とく。」


「…いつでも見ればいいだろ。」


「やーだ。」



なんだ、急に。



誓耶が子どもみたいだ。



誓耶は偉槻の首に手を回す。



「なんだよ、お前。」


「いいだろ。
あたし、今、現実か信じられないんだ。」


「現実だろ。」



俺に触れてるだろ、と誓耶を諭すと、誓耶はでも、と食い下がった。



「もしかしたら、偉槻、急に消えちゃうかも。」


「消えねーよ。」



だから寝とけ、と無理矢理目を閉じさせる。



寝ろ、と言い渡すと、やっと誓耶は大人しくなった。



偉槻は誓耶が安心するように、ずっと頭を撫でてやった。




















< 229 / 366 >

この作品をシェア

pagetop