胡蝶蘭
眉をひそめる偉槻に、慎吾は雪崩れかかった。



「俺には甘えないもん。」


「話聞いてるぶんには相当甘えてるだろ。」



嫉妬したことは言わない。



慎吾はげんなりした顔で偉槻を見上げた。



「甘えてるって域には達してないな。
ま、頼ってはくれるけど。」



…また、嫉妬。



誓耶が恋人と呼べるポジションに収まった今も、慎吾の言葉にいちいち反応する自分がいる。



しかしそれを顔に出さず、偉槻は言った。



「それが甘えてるんじゃないのか?」


「そうか?
じゃ、偉槻にはどうやって甘えてるんだ?」


「普通にすり寄ってくるけど?」



ぎぃー、と慎吾が唸った。



「いいなぁ、いいなぁ!!!
俺にはそんなことしねーぞ!」


「当たり前だろ、してたら怒るわ!」



慎吾を叱りつけるように怒鳴り、偉槻はまた箱を抱えた。



ったく、あいつは。



友達と彼氏は違うだろ。



比べることじゃない。



それに、誓耶は慎吾を友達以上に思っているに違いないのだ。



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