胡蝶蘭
実際、偉槻は嫉妬している。



二人が一緒にいるところを見たわけでもないのに、だ。



慎吾は自分がどれだけ誓耶に好かれているかわかっていない。



聞いている偉槻が歯がゆいくらいに、仲がいいのに。



慎吾は偉槻を羨む。



…こっちがうらやましいっての。



膨れた顔を慎吾に見せないように、偉槻は箱を抱え直した。



「なぁ、もうキスした?」



唐突に、慎吾は偉槻に体当たりした。



「ばっ…!」



バランスを失い、段ボールが危なっかしく揺れる。



揺れが収まってから、偉槻は慎吾に回し蹴りをかました。



「馬鹿野郎!
仕事中だぞ、商品が落ちて壊れでもしたらどう責任とるんだ!」


「わ、わりぃ。」



今度ばかりは慎吾もおとなしくなった。



鼻息も荒く、偉槻は歩き出す。



キスしたかだと?



あぁ、したよ。



しましたよ。



悪いか!



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