胡蝶蘭
「どけ。」



ぼーっと立っている少女を布団で押しのけ、ドサリとそれを下ろす。



「毛布はさすがにいらないだろ。」


「うん。」


「寒かったら言え。」



風邪を引いているから泊めてやるのに、悪化されたら洒落にならない。



不本意ながらも、偉槻は少女を世話した。



まず、風呂に入るように追い立てる。



いいと断り続ける少女を、「覗かねぇよ。」と蹴りだした。



バスタブに熱めの湯を張り、一通りシャンプーなどの説明をする。



少女はその段になっても渋っていたが、偉槻は有無を言わさず風呂場に放置した。



その間に、偉槻は自分の分の天むすをレンジで温める。



少女が出てくるまでに、偉槻はさっさと自分の食事を終わらせた。



「ありがと。」



そう言って彼女が出てきたとき、偉槻はテレビを見ていた。



「おお。
お前、何か食う?」


「いい。
腹減ってない。」


「あっそ。
じゃ、俺風呂いってくるから。
勝手に寝てろ。」



濡れた髪から雫を滴らせる彼女が気になったが、この家にドライヤーなんてものはない。



可哀想だが、我慢してもらうほかない。



「寝てろ。」



もう一度言って部屋に押し戻し、偉槻は服を脱いだ。
















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