胡蝶蘭
「偉槻ってばぁ。」



あまりに頻繁にするので慣れはしたが、抗議はする。



「いいだろ。」



生暖かい唇が首を這う。



誓耶はびくっと首をすくめた。



「偉槻、あたし大学あるから。」


「朝飯、電車で食えば間に合うだろ。」


「あのね、結構迷惑がられるんだからね。」


「いいだろ…。」



未だ覚醒してない声で、偉槻はごねる。



…可愛いんだよなぁ、こういう偉槻。



くるりと身体を反転させられ、また予想通り唇を塞がれる。



一緒に暮らし始めてからほぼ毎日これだ。



よく飽きない。



ま、自分もか。



「ね、偉槻、今日もなの?」


「悪いか?」



ごそごそと服の下に手を這わせる偉槻に一応抗議すると、悪びれもなく言われた。



「悪いかって訊かれれば、悪いだろ。」


「どこが。」



偉槻は着々と準備を進める。



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