胡蝶蘭

イチネンゴ








朝。



目を開けると、正面には大好きな偉槻の顔。



誓耶は布団の中で軽く伸びをした。



偉槻って、寝てるときも眉間にしわ寄せてるんだよなぁ。



毎朝、目を開けると眉間のしわと対面だ。



最初は寝苦しいのかと思って色々邪魔にならない体制を研究してみたけど最近は原因が自分ではないと気付いた。



「おはよ偉槻。」



声をかけると、偉槻はぴくっと頬を動かした。



「はよ…。」



低い声で、偉槻は答える。



「ねみぃ…。」


「昨日の晩、調子に乗って騒いでるからだよ。」



久々に健が来て、日付が変わっても騒いでいた。



誓耶は早々に寝たが。



「ほら、朝だよ。」


「俺は今日出勤昼なんだよ。」


「あ、そっか。
じゃ、あたし先起きてるね。」



大学がある誓耶はそろそろ起きる時間だ。



むくりと起き上がろうとすると、ぐっと腕を引っ張られた。



「うわっ!」



そして予想通り、偉槻の腕の中。



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