胡蝶蘭
「でも俺は長いのがいいなぁ。
誓耶は似合うと思うんだけどなぁ。」



だから、聞きたくない。



そんなコトバ。



だいたい、あたしはあんたの好みなんて知らないし。



どうでもいいし。



誓耶は振り切るように立ち上がった。



パーカーだけ羽織って立ち上がる。



「帰る。」


「どこに?」



嘲る響き。



まただ。



「自分の部屋。」



それも俺の家の中にあるだろ、とでも言いたげな顔。



はいはい。



どうでもいいよ。



なんと言おうと、あそこはあたしに与えられた休憩所。



ついてなんか来ないでよ。



「また迎えに行くから。」



パンと、匡の手が艶めかしく露出された誓耶の脚を叩く。



誓耶はちらりと匡を一瞥し、ドアを閉めた。



夜は長い。



誓耶にとって夜という時間は悪夢そのものだ。















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