胡蝶蘭
なら何故にアニソンを選んだ?



まぁいいやと思いながら、流れ始めた曲に集中する。



隣の慎吾はノリノリだ。



赤い、青い顔が、画面を流れていく。



誓耶は何度も撥を振るうが、一向にポイントが貯まらない。



「あ~、くそ!」


「うわははは、下手くそ~!」



慎吾はというと、全部ヒット。



…壊れてんじゃないのかこの太鼓。



散々「バーカ」とからかわれ、一曲目は終了した。



ノルマ達成ならず。



こんちくしょう。



むくれて、撥を投げるように戻す。



慎吾はにやにやしながら言った。



「まだもう一曲あるぞ。」


「はぁ!?」



まだあるのか?



げんなりした顔の誓耶とは対称に、慎吾は顔を輝かせている。



何がそんなに楽しいんだ。



「一つ条件がある。」


「なんだよ、条件て。」



これやんのに条件なんているか?と言いながらも慎吾は身体を誓耶のほうに向けた。



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