胡蝶蘭
「さて、と。」



まだ倉庫には、段ボールが山積みだ。



これを捌かないと帰らせないと、社長が言っていたので、みんな必死で運んでいる。



涼宮もその一人だ。



だが偉槻を含め、古株連中は落ち着いたもので、ちゃっかりと休憩をとっていた。



中には煙草をくわえたまま仕事をしている男もいた。



勿論、見つかった途端に寄ってたかって煙草をライターごと取り上げられたが。



偉槻は軍手をはき、作業に戻る。



その隣を涼宮が急ぎ足で通り過ぎていった。



若いな。



偉槻はあまり無理をすると次の日がつらいことを学習しているので、100%力は使わない。



腰を痛めないように注意しながら、箱を持ち上げた。



「ふぅ。」


「なんだ、偉槻。
もうバテてんのか?」



古株の先輩が、ふざけて偉槻の頭を鷲掴んだ。



それを軽く振り払い、背中に言い返す。



「いーえ?
体力温存です。」


「どーだか。」



悪戯に笑いながら、彼は走って行った。



本気で体力温存しといたほうがいいのに。



背中を見送りながら、偉槻は苦笑した。




















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