胡蝶蘭
20×× ネン
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偉槻が目覚めたのは、日が高く昇ってからだった。
昨晩、年明けを祝う気力もなく、布団に倒れるようにして眠ったのを覚えている。
身体の節々の痛みに呻きながら、偉槻は起き上がった。
風呂、入らなきゃな。
ガリガリと頭を掻く。
まずは朝飯か?
自分の腹と相談するも、食欲がなかったので先にシャワーを浴びることにした。
服を脱ぐと寒さが肌を刺すように襲ってくる。
出来る限り急いで風呂場に飛び込んだ。
熱い湯を身体にぶっかける。
それでも頭はまだ覚醒しなかった。
偉槻はシャンプーを引っ掴み、頭を洗う。
身体が思うように動かず、目に水が入った。
痛さもぼんやりとしか感じない。
これは重症か?
風邪引かないうちに出なきゃな。
いつもよりも気持ち早目に手を動かす。
それでもどんどん身体が冷えていった。